糖尿病と運動のメカニズム
食事をすると必ず血糖値は上がります。でもそれをインスリンが下げるというのはすでにお話ししました。それではなぜインスリンが血糖値を下げるのかと言いますと、インスリン受容体という物質と結合することによって血中の糖分を細胞内に取り込むよう命令が出されます。この働きによって、血中の糖分が細胞に吸収されて血糖値が下がるのです。糖尿病というのはこのインスリンが少ないか、または働きが悪いかでうまく細胞に糖分を吸収させることが出来なくなる病気です。ところが運動をすると、運動そのものが刺激となって細胞が糖分を欲するようになります。これは運動によって消費されたものを補おうとする意味も当然あります。インスリンの働きが悪いとこの命令がうまく伝わらないのですが、運動をすると細胞の側から糖分を吸収しようという動きを見せますので、血糖値が下がり糖尿病の治療にも役立つわけです。
それでは、実際にはどんな運動をどれくらいするのが効果的なのでしょうか。まず知っておきたいのは、運動によってインスリンの働きを良くなるのは運動して筋肉が動いている部分だけだということです。全身のインスリンに刺激を与えるには全身運動が良いということを知っておいて下さい。また、瞬発的な運動よりも酸素を取り込みながら行う有酸素運動のほうが脂肪燃焼効果もあり、さらに効果的です。
1日に150キロカロリーを消費する運動をするのが良いとされていますので、それを考慮すると、以下の運動がおすすめです。
・歩行:30〜40分
・自転車:30〜40分
・ジョギング:20分
・テニス:20分
・なわとび:10分
・水泳(平泳ぎ):10分
どれも手軽に出来るものばかりなので、肥満やメタボリックシンドロームにも効果があることですし、今日から実践してみてはいかがでしょうか。
糖尿病で失明
糖尿病はさまざまな合併症を引き起こすことが多く、その合併症が深刻な事態になることがあるため、糖尿病が問題視されているのです。ここでは糖尿病の合併症についてはお話しいたします。よく噂話で“糖尿病になると目が見えなくなる”というのを聞いたことはありませんか?“梅毒になると鼻が落ちる”というのに良く似ています。いきなり失明してしまうというものではありませんが、これは全くの間違いでもありません。
糖尿病になると網膜症や白内障など眼のトラブルを引き起こすことが多く、そのせいで物が見えにくくなります。具体的には物が二重に見えたり、ぼやけたり、という具合です。初期段階では見えにくい程度で済みますが、これがひどくなると失明もあり得るというわけです。
これを「糖尿病網膜症」と言います。
糖尿病の診断基準
もしかしたら自分が糖尿病かもしれない、と思った人が医師の診察を受けて、本物の糖尿病患者として診断されるには基準があります。これは日本糖尿病学会というところが「糖尿病と診断するための手順」としてガイドラインを設けているもので、これによると以下の条件を満たすと糖尿病だということになります。空腹時血糖値が126mg/dl以上、75gOGTT2時間値が200mg/dl以上、随時血糖値が200mg/dl以上となっています。これらの中で、別の日に行った検査も含めて2回以上確認できれば糖尿病と診断して良い、とあります。あくまでも機械的な基準ですが、この数値を満たしていると体の状態がどうあれ糖尿病と診断して良いという状態にあります。ここでのポイントは、これらの数値はブレが大きく1回検査しただけでは断言してはならないという点にあります。よほど他にも糖尿病であることを示す決定的な検査結果や症状がない限りは2回以上の検査結果を根拠にしないと糖尿病と診断は出来ないようになっています。ただし、生活習慣病の研究はまだまだ発展途上の段階にあります。この診断基準も従前のものを1999年に改訂しているという経緯がありますので、今後も改訂される可能性があります。
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